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ニンニンオールスターズ・外伝
僧侶さんと不思議な果実

僧侶さんと不思議な果実

 冒険を終えた僧侶さんは悩んでいた。たいした悩みでもないのだが、何をすればいいのか悩んでいた。
 冒険を終えた僧侶や司教は寺院で雇われ、洞窟で状態異常に陥った冒険者を治療するというのがだいたいの相場と決まっていたが、寺院は既に僧侶や司教であふれていた。第一信仰心が低く、素行がいいとはいえない僧侶さんが寺院にいったところで、まじめな司教として勤まるはずも無く、面接試験で落とされるのは目に見えていた。
 そういう僧侶や司教は悲惨だ。食べていく種が無いため、途方にくれる。僧侶さんもそんな一人だ。しかし前の冒険でお金は稼いでいたため、普通に生活する分にはお金に困らない。数年暮らす分の貯蓄くらいは持っていた。
「はぁ、毎日暇だわ。この暇な時間をどう使えばいいのかしら?」
 そんな時、僧侶さんの耳にある噂が飛び込んできた。その噂とは、「あの洞窟」には幻の階が存在するというものだった。

〜中略〜

「あったわ!これが問題の泉ね」
 その泉の水は透き通っていた。その為かなり深くまで確認できる。しかし泉の底までは確認できないほど深かった。
「かなり深そうね。でもこれがあれば問題ないわ」

〜中略〜

「ここは熱いわね。何もしなくても汗が吹き出てくるわ」
 そこは紛れも無く地獄と呼べる場所だった。
「あーこんなところに来るんじゃなかった。今更後悔しても遅いのよね・・・」
 僧侶さんはロクトフェイトを唱えたい気持ちを押し殺しながら先を急いだ。
「たぶん物凄い化粧崩れを起こしているわ。鏡を見るのが怖い・・・」

〜中略〜

「やあ、君のおかげでたすかったよ」
「!?ラクダがしゃべった!」
「びっくりしなくていいよ。僕の名前はラ・ラ・ムームー。知能が高いラクダさ!」
 僧侶さんがびっくりしたのも無理は無い。外見はどう見てもラクダだ。そのラクダが普通に喋りかけてくるのだからびっくりしないものはいない。
「助けてくれたお礼をしたいな。この果実なんてどうだい?女の子はみんな欲しがる素敵な果実さ!ウヒヒ」
 そういうとラ・ラ・ムームーは緑色のリンゴのような果実を僧侶さんの目の前に見せた。果実は不思議なことに僧侶さんの目の前の空間に浮かんでいる。
「これは何?」
「これを食べると体が20歳くらいまで戻る不思議な食べ物さ。逆に子供が食べても20歳くらいになるけどね!ウヒヒ」
 そういうとラ・ラ・ムームーは白い歯を見せて笑った。なんとも愛嬌のあるラクダだ。
「そう・・・貰っておくわ」
 僧侶さんは嬉しいのが半分、疑わしい気持ち半分でその果実を手に取った。
「僕の後ろの空間に飛び込めば”HOME”に戻ることが出来るよ!ウヒヒ」
 HOMEという言葉を聞いて頭の中で「?」となったが、たぶん入口近くのことだろうと気に止めなかった。それにしてもこのラクダといい、この空間といい、なんだか頭の中がぐちゃぐちゃにかき回されるほど僧侶さんにとっては理解不能だった。
「それじゃあ、僕は行くよ。僕はエジプト人だから水を補給しなくちゃいけないんだ。ウヒヒ」
 そう言い残すとラ・ラ・ムームーは笑いながら暗闇へ消えていった。
「言ってる事まで理解不能ね」

〜中略〜

 不思議なラクダからもらった不思議な果実。僧侶さんはその果実を食べるべきか食べざるべきか悩んでいた。あのラクダの言葉を信じれば食べても害はないはず。しかし、僧侶さんが気になっていたのは”子供が食べても20歳になる”というフレーズだった。子供が食べても体が20歳になるとはこの果実にはとんでもない魔力が秘められているに違いない。そんな強い魔力が秘められた物に副作用が無いはず無いのだ。
「20歳になるのは魅力的だけど、そんなに若返りたいほど歳もとってない。でもこのまま腐らすのももったいない」
 せっかく苦労して手に入れた報酬。しかも気のよさそうなラクダがくれたもの。このまま捨てるのはどうにも気が引けてならない。僧侶さんはしばらく考えた挙句
「一切れだけ食べてみよう!」
 そう心に決めると、手にとった果実を果物ナイフで綺麗に皮をむき、中の種を取り6等分に切り分けた。
 それを小さな皿に盛り、ベットの横にある小さなテーブルに置くと、ゆっくりとベットに腰掛け、大きくため息をついた。
「ふー。さてと・・・ドキドキするわね」
 僧侶さんがその一切れを手に持ち、一口、また一口と食べていく。今のところ特に変化は無い。
「たいしておいしくないわねこれ。それに何も・・・?」
 そう言いかけたとたん、目の前の視野がどんどん狭くなっていく。それと同時に意識も薄れていく。薄れ行く意識の中で僧侶さんは思った。「あのラクダに騙されたのかしら?」答えがわからないまま僧侶さんは気を失ってしまった。

 しばらくして部屋にニンニン達が入ってきた。
「おーい、僧侶!ポーカーしようぜ、ポーカー!」
「人数が多いほうが面白いからな」
「入るぜ」
 部屋に入ると僧侶さんがベットの上で寝ている。
「なんだ、ねてんのか。プッ、こいつ白目で寝てる!わはは!」
「え、本当か!?あ、ほんとだ(笑)」
「ん?」
 ニンニン1が何かに気付いた。テーブルの上にきれいに切られた果実が乗っている。
「うまそうだな。一つ貰うか」
「あ、俺も」
「俺も」
「俺も食べるぞ」
「あんまり美味くないなこれ」
「ああ、そうだな・・・ん?」

〜中略〜

 僧侶さんが認定証を確認すると、すぐに異変に気付いた。
「なにこれー!レベル1になってるし能力値も下がってる!しかも職業”僧侶”になってるし!」
 果実の効果は僧侶さんを20歳にするのではなく、20歳の状態に戻すという効果だった。怒りがこみ上げてきたが、僧侶さんの頭の中にすぐに違う考えが浮かんできた。
「まあ、いいか。どうせすぐ冒険に出かけるわけでもないし。また鍛えなおせばいいわ」
「うぅぅ。なんだ?」
 ニンニン1が状況がつかめないと言った感じで起き上がってきた。
「あなたたちも食べたのね。ご愁傷様」
「なにがご愁傷様なんだ?」
「いずれわかるわ」
 そういうと僧侶さんは何事も無かったかのように鼻歌混じりで部屋を出て行ってしまった。
「なんだ?あいつ。・・・そういえば何しに来たんだっけ?あ、そうだポーカーだよ。おい、お前らも起きろよ。ポーカーするぞ!」

 その後、ニンニン達が異変に気付いたのは3日後のことだった。

  to be continued...

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